「この方法のいいところは、かなり面倒だということです」とエイドリアンは言う。「つまり、ケースを取り外すのは、人生において大した苦痛ではありません。それでも、毎度それをひっくり返したりするには手間だという、ちょうどいい“摩擦”があるのです」

「基本的には、強迫的な行動を、意識的な行動に変える後押しをするのです」とクララは言う。

Apertureのケースは実在していない点に注意してほしい。これは実際の製品のプロジェクトではなく、アートプロジェクトだ。現実の製品にはならないかもしれない。それでもSpecial Projectsは、わたしたちが携帯電話に費やす時間について、思慮深く考えるきっかけになることを願っている。例えば、スクロールしすぎるとデジタルの木を枯らしてしまうアプリのように、スマートフォンを使わないようにする仕組みを考えているのだ。

「(スマートフォンの使いすぎは)多くの人が悩んでいる問題です」とエイドリアンは言う。「解決策はたくさんありますが、これにはピンとくるものがありました。」

アイデアの進化

Special Projectsの作品は、デジタル・ウェルビーイングを追求するTeenage Engineeringのエトスを感じさせる。人の注意力に関連するSpecial Projectsの取り組みは、一時的な解決策から始まった。携帯電話を紙の封筒で包んだり、アプリを使って、例えば連絡先、カレンダー上の会議の予定、食料品リストなど、携帯電話から必要になる1日のすべての情報を1枚の紙に印刷したりするのだ。

Apertureのアイデアはそれから数年後、クララとエイドリアンのウェスタウェイ夫妻がiPhoneケースの背面にあるカメラレンズのクラスター用に彫られた窓がApple Watchとほぼ同じ大きさであることに気づいたときに生まれた。アップルが手首に装着するデバイスの限られたウィンドウに多くの情報を取り込むことに成功していることから、Special Projectsはスマートフォンでも同じことが簡単にできると考えた。携帯電話のケースを反転させるだけで、それが可能になるとしたらどうだろう?

「これらのアイデアで、わたしたちは遊び始めました」とエイドリアンは言う。「とても気に入ったのが、すでに手もとにあるふたつのものを使うことで、新しい種類のデバイスのように感じるものに変身させることができるというものでした」

当初の構想では、どんな携帯電話ケースもAperture対応のヘルパーに変身させるというものだった。だが、現実はそうなりそうもない。まず、ケースの製造方法によっては、スイッチがうまく機能しない可能性がある。逆にフィットしなかったり、不注意で携帯電話の側面に沿ってボタンを押したりしてしまうかもしれない。

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Courtesy of SP Aperture

もうひとつの問題は、切り取られたウィンドウに情報を表示するためのオペレーティングシステムへのアクセスだ。これを機能させるには、アプリをダウンロードし、そのアプリに画面上にミニマリストな表示を作成するためのあらゆる権限──つまりメッセージ、電話、近接センサーなどへの権限──を与える必要がある。そのすべてが機能し、すべてのデータを公開せずに機能するためには、アップルやグーグルのようなメーカーと連携する必要がある。

物理的遮断の可能性

Light Phoneのように新しいデバイスを買う必要がないという魅力はあるものの、Apertureは結局のところ別製品にならざるを得ないかもしれない。しかし出発点として、Special Projectsは携帯ケースメーカーと協力し、デバイスの背面にも前面にもぴったりフィットするケースをデザインしているとのことだ。