米セントルイス連銀のムサレム総裁は26日、関税による影響が一時的なものにとどまるかどうかは不透明だと述べ、その二次的影響によっては、金融当局が金利をより長期にわたって据え置く可能性があるとの見解を示した。
ムサレム氏は、関税やその他の要因の変化により、インフレ率が当局目標の2%を上回った水準で高止まりしたり、さらに上昇したりするリスクが高まっていると分析。インフレ期待を安定的に保つことが極めて重要だとあらためて強調した。
ケンタッキー州パデューカでの講演で同氏は「関税引き上げによるインフレへの影響が完全に一時的なものなるとの考え、あるいは『静観』戦略が適切になるとの考えには私は慎重だ」と発言。「特にインフレの間接的な二次的影響を注意深く警戒すべきだろう」と語った。発言内容は事前原稿に基づく。

関税の影響について語るセントルイス連銀のムサレム総裁
Source: Bloomberg
ムサレム氏は、関税の直接的な影響(一時的な価格上昇)と、基調インフレに対しより持続的効果を及ぼす可能性がある二次的影響を区別した。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は先週、トランプ大統領の通商政策がインフレに及ぼす影響は「一過性」のものになる公算が大きいが、なお不明点が多いと述べていた。
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ムサレム氏は、先週の連邦公開市場委員会(FOMC)会合での金利据え置き決定を支持するとし、辛抱強い政策アプローチが当局者の最新データ評価を助けるだろうと認識を示した。
労働市場とインフレの動向に応じて当局が採用可能な対応策を同氏は説明。景気が引き続き堅調で、インフレ率が目標を上回る状態が続く場合、現行政策は適切だと主張。労働市場が健全な状態を保ち、関税による「二次的」影響が生じれば、金利を「やや景気抑制的」な水準により長くとどめるか、より景気抑制的な政策スタンスを検討することが必要になり得るとした。
労働市場が悪化し、インフレが横ばいないし鈍化する場合は「さらなる政策の緩和もあり得る」という。
インフレ期待
インフレ期待については、インフレ率が目標の2%をなお上回っているため、当局による制御がこれまで以上に重要になると指摘。インフレ期待が制御不能になる恐れが出てくれば、完全雇用の責務より物価安定の責務を優先することが恐らく必要になるだろうと語った。
ムサレム氏は、発表済みの関税引き上げが実施され「米実効関税率」が10%上昇した場合、米連邦準備制度が物価指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数を1.2ポイント押し上げかねないというスタッフ分析に言及。 1.2ポイントのうち関税の直接的影響が0.5ポイント、間接的影響が0.7ポイントとした。
同氏は講演後に記者団に対し、インフレ率が2027年に目標の2%に達すると予測し、昨年12月に示した時期を先送りした。
原題:Fed’s Musalem Wary of Threat of Persistent Tariff Inflation (2)、Fed’s Musalem Warns Tariff Inflation Impact May Not Be Temporary(抜粋)
(総裁の発言を追加して更新します)
