アングル:米テキサス州はしかで死者、ワクチン懐疑派ケネディ長官に試練

 米テキサス州で麻疹(はしか)の感染が拡大し、ワクチン未接種の子ども1人が死亡、20人近くが重篤な合併症で入院している。写真は、「はしか検診」と書かれた看板。2月25日、テキサス州セミノールで撮影(2025年 ロイター/Sebastian Rocandio)

[26日 ロイター] – 米テキサス州で麻疹(はしか)の感染が拡大し、ワクチン未接種の子ども1人が死亡、20人近くが重篤な合併症で入院している。ワクチンに長年懐疑的な見解を示してきたロバート・ケネディ・ジュニア米厚生長官にとって、初の大きな試練となる。

米国ではしかによる死亡者が出たのは2015年以来初めて。ケネディ氏はこのニュースに対して、こうした感染症の流行は日常茶飯事だと発言。さらに死者数は2人だと誤って述べ、患者が入院しているのは「主に隔離」が目的だと説明した。

公衆衛生の専門家らは、米国における過去10年間で最大規模のはしかの流行を抑制するため、トランプ政権は全国でワクチン接種を奨励すべきだと訴えている。

テキサス州および隣接するニューメキシコ州では計130件以上の症例が報告されている。州当局者らは、はしかは感染力が非常に強いため、症例は今後も増える可能性が高いという。

ケネディ氏は26日、「今年、この国でははしかの流行が4件発生している。昨年は16件だった。だから珍しいことではない」と語り、「はしかの流行は毎年発生している」と続けた。

しかしテキサス州の病院関係者らは、入院した子どもらは全員ワクチン未接種で、集中治療が必要な患者もいるなど、深刻な呼吸器疾患を抱えていると説明。隔離のみを目的とした入院ではないとしている。

病院関係者らは一般市民に対し、予防接種を確実に受けておくよう促しているが、2000年に米国で根絶が宣言されたはしかが再び出現したことに当惑している。はしかウイルスは特に幼い子どもに深刻な症状を引き起こす可能性があり、予防接種が広く普及したことが根絶宣言につながった。

厚生省の報道官はケネディ氏の発言を訂正し、死亡者は1人であることを確認した。はしかの予防接種を呼びかけるか否かについては回答しなかった。

テキサス州ラボックのコベナント小児病院の小児科医で最高経営責任者(CEO)のエイミー・トンプソン医師は26日、学齢期の子どもが死亡したことに関して記者会見を開き「このウイルスは深刻な結果をもたらし、死に至る可能性もある」と警告した。

同病院の最高医療責任者であるララ・ジョンソン医師は「はしかの流行を食い止める最善の方法は予防接種だ」と指摘。「はしかワクチンを2回接種することで、97%の終生免疫(その病気に対する免疫が一生続くこと)が得られる」と付け加えた。

ジョンソン氏は2002年に医学部を卒業した際、海外で働かない限りはしかの流行を目にすることはないだろうと考えていた。「当時、私たちは米国からはしかが根絶されたと確信していた。その状況が変わったのは明らかだ」と語る。

複数の専門家は、ケネディ氏が長年にわたって予防接種の安全性と有効性に疑問を投げかけ続けてきたこともあって、ワクチン懐疑論が広がったことが、ワクチン未接種者やワクチン接種不足者を生み出したと指摘している。

ケネディ氏が設立したワクチン反対派の団体「Children’s Health Defense(子どもの健康を守る)」は、はしかを含む一般的な予防接種を巡って州裁判所と連邦裁判所に提訴している。

先月開かれた厚生長官指名承認のための上院公聴会で、ケネディ氏はワクチンに反対しているわけではないと宣言。「私はワクチンが医療において重要な役割を果たしていると信じている。私の子どもたちは全員予防接種を受けている」と語り、物議を醸した。

<予防接種を>

米疾病対策センター(CDC)の元局長であるアリ・カーン氏は「はしかによる今回の死亡例は、ワクチン反対派のメッセージが広がると命にかかわる結果を招くことを思い知らせた。米国民の中で、予防可能な小児疾患の症例はゼロでなければならず、ましてや死者など出てはならない」と述べ、国、州、市の政治家が市民に予防接種を呼びかけるべきだと訴えた。

ジョンズ・ホプキンス大学・保健安全センターの上級研究員であるアメッシュ・アダージャ氏は、はしかの流行が毎年発生するようになったからといって、積極的な対応が不要だということにはならないと主張。「死亡例が出た以上、はしかワクチンの価値を強調する良い機会だ」と語った。

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