映画 グランメゾン・パリ 木村拓哉の代表作になる予感。小林圭さんの監修料理の彩りがスクリーンに華を添える。ドラマ知識あると感動もひとしお

グランメゾン・パリ

監督/塚原あゆ子
「MIU404」(20)(ミュウ ヨンマルヨン)で注目された方で、24年は「ラストマイル」を監督
来年には「ファーストキス 1ST KISS」が予定されている
TVのグランメゾン東京は19年の作品

脚本/黒岩勉
TOKYO MER、劇場版「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」(23)
で知られる脚本家。「キングダム」でも長い原作をうまくまとめる手腕が光る方

料理監修/小林圭(Restaurant KEI)
2020年にフランス版ミシュランガイドの3つ星を獲得。
アジア人シェフとして初めてフランスでミシュランの三つ星を獲得

2019年ドラマOAされた「グランメゾン東京」の映画版
ドラマの続き…ということではあるが、公開前日となる12月29日にSpドラマがOAされ、そのSPドラマの直接の続編…というほうが良いかもしれない

とはいえ、SPドラマ直後ではなく、パリでグランメゾン・パリを回転させ、2つ星を獲得しているものの…というところからスタートする。

「グランメゾン東京」が日本で“三つ星”を獲得してから時が経ち—
尾花夏樹(木村拓哉)は早見倫子(鈴木京香)と、フランス料理の本場・パリで、新店舗「グランメゾン・パリ」を立ち上げ、
アジア人初となるミシュラン“三つ星”を獲得するために奮闘していた。

名だたる巨匠たちがしのぎを削る本場フランスで、フランス料理で“三つ星”を獲得することは、尾花にとっての悲願。
だが異国の地のシェフにとっては、満足のいく食材を手に入れることにすら高い壁があり、
“三つ星”に選ばれるなど夢のまた夢。「グランメゾン・パリ」は結果を出せない日々が続いていた。
そしてあるガラディナーでの失態が原因で、かつての師と「次のミシュランで三つ星を獲れなければ、
店を辞めフランスから出ていく」という約束を交わしてしまう…

かつてカリスマシェフと称された尾花夏樹は、挫折や国境の壁を乗り越え、
仲間と共に世界最高峰の“三つ星”を手に入れることは出来るのか!?

まず、ドラマで描かれた部分はさておき基本設定は押さえておくことが、ある意味必須ともいえる1本

物語の冒頭にこれまでの簡単な経緯なども簡素化して伝えるだけで、丁寧な説明は一切ない。
とはいえ、HPを観ておけばその部分は補完できる。
逆に中途半端に説明をいれることすらスルーすることでこの作品がもつ緊迫感への没入に成功しているともいえる。
その一方でいきなりパリでミシュラン2つ星を持つことの大変さやキャラクターの関係性などがわからない場合は戸惑いもあるかもしれない

シナリオ展開は完全にスポ根。
野球漫画的に言うなれば
甲子園に行くためにエースで4番の主人公が、自分の力だけで行こうとするが挫折して、仲間とともに栄光を勝ち取る!
これを料理に置き換えて肉付けをしている…といえば簡単だが、そこにフランス料理の奥深さと変革を受け入れる多様性が合わさることで素晴らしい物語の展開になっている。

映画の冒頭の主人公尾花(木村拓哉)はTVドラマで得られたはずの「仲間と協力すること」を完全に忘れているが、それを思い出したところから物語は一気にクライマックスへ駆け上がっていくが、ここでメインテーマを含めて音楽のいれかたが絶妙に上手い

この盛り上げ方がは王道であるがゆえに効果は絶大で、観ている側をワクワクさせるのに成功しているといえる。

シナリオも
メインキャラクターを木村拓哉、鈴木京香、及川光博、沢村一樹にしぼることで、全体の流れをシンプルにし、新キャラクターを2人追加。そのうちの1人は韓国人パティシエにすることで多様性を演出。
これもうまさでもあるし、大人の都合感もあるが、成功しているともいえる。

何度もいうがシナリオはスポ根。しかも王道でわかりやすい。
メインキャラクターの倫子(鈴木京香)の扱い方がわかり易すぎる…が、だからこそラストに向けての結束の強みに輪をかけることができている。

木村拓哉もキャラクターを十分理解して演じているゆえに、彼の発言、行動、裏側の心理面もふくめて、尾花夏樹という主人公を魅力あるものにしている。
さまざまなゴタゴタやバタバタのあとに、ピシャリと締めるポジションも含めて、キムタクではなく、木村拓哉としていい演技を観せてくれる

鈴木京香もドラマシリーズからの継続なので、倫子のポジションも含めてうまくまとめている&苦悩を見抜かれ吐露するシーンでの安堵感あふれる笑顔と安心感からの体全体で喜びを見せる演技は可愛らしさすら感じさせてくれる。

この映画というか作品のすごいところは
「ランブロワジー」というフランス料理の老舗の名店の名前をそのまま使っているところかもしれない。主人公の尾花夏樹の師匠はランブロワジーのシェフであることで設定でも劇中でも語られているが、そういった「本物」をきちんと作品の中に盛り込んでいる部分を高く評価したい

他にも小林圭さんの監修の料理であったり、TVドラマで「メゾン ポール・ボキューズ」でロケをしていたり…といった、本物をしっかりと映像でみせて観ている側にリアリティを感じさせることに成功している部分であり、そのリアリティが限りなくリアルだからこそ面白さにつながっているとも感じられる。

本気で本物を映画で伝えるという気概が感じられるこの作品は、観ることによる料理への興味。
移民の国であるフランスが持つマイナスな部分とフランス料理をを通して多様性の本質を伝えるとともに、本気で取り組むことや中物大切さを描くとともに、一人の天才の成長物語としても完成している。

さらに料理において素材の大切さであったり、生産者への感謝、問屋への感謝。そこに至る人間関係の大切さなど、人生においても大切な「人と人のつながりと信用と信頼」をも描いている。

しかし 尾花の「他人を本気にさせるために、悪者としてけしかけるスタイル」ってのは師匠譲りだったのね…というオチも含めて、見ごたえ十分。
あと師匠の外観が、日本のフランス料理の巨匠
三國清三さんに似せてるような気がするのだが…マニアックな視点かもしれない

いずれにしても、TVドラマなどを観ていなくてもHP予習で楽しめる映画ではあるが、ドラマに加えてSPドラマも観ておくと面白さは倍増するのは間違いない

小林圭さん監修の素晴らしい料理を大きなスクリーンで観る価値も含めて映画館で観るべき1本