「糖尿病」と聞くと「食生活や運動不足が原因」というイメージがありますが、生活習慣に関係なく、突然、発症する「1型」という糖尿病もあります。子どもが多く発症するという、この「1型糖尿病」。患者や家族に必要な、“支援”とは?
名古屋市緑区に住む、生野真浩くん。小学3年生の9歳です。
母、優季さんとのウクレレの演奏に…妹と風船の剣で、戦いごっこ。元気いっぱいです。
「日常です(笑)どっちかが泣くまで(笑)」(母・優季さん)
お昼ご飯は、真浩くんが大好きな、お母さんの手作りハンバーグ。でも、食べる前に、「あること」をしなければいけません。
「これがお薬なので、針をつけて今からお腹に打ちます」(母・優季さん)
「痛くない?」(記者)
「痛くない、痛いときもある」(真浩くん)
真浩くんは、膵臓(すいぞう)でインスリンが正常に作られず、血糖値が上がってしまう「1型糖尿病」です。
診断されたのは、5歳のときでした。
「1日20~30回トイレに行って、夜も普段なかったおねしょがひどくなって小児科で診断された」「糖尿病・・・子どもがなるの?っていうのは驚きましたけど…」(父・浩和さん)
「まさかという感じで」「一生治らないって」(母・優季さん)
糖尿病には1型と2型、2つのタイプがあります。日本(にほん)糖尿病協会によりますと、患者の9割近くを占めるのが「2型」です。
体質に加え、運動不足や食生活の乱れなどが原因で中高年に多く発症しています。これに対し、「1型」は、生活習慣とは関係なく、子どもに多いのが特徴です。
「1型糖尿病という病気は生活習慣と関係がなく」「膵臓が破壊されて起きてくる病気」「生きていくために死ぬまでインスリンを打ち続けないといけない病気。病気にあたっては、食生活とか、運動不足、肥満とか一切関係なく突発的に起きる」(ソレイユ千種クリニック・木村那智院長)
食事の量に合わせて調整、昼夜関係ない時も…
「(ごはんよそいながら)180でいい?まひー」(母・優季さん)
「うん!」(真浩くん)
「炭水化物の量でインスリンの量を決めるんですね」「この食事は炭水化物が75グラムぐらいなので…4.5打とうか」(母・優季さん)
血糖値を下げるため、食事やおやつの量に合わせて調整したインスリンを毎回、注射しなければいけません。
真浩くんは、1日10回ほど注射を打っているといいます。
「音が鳴る(ピロリン)」「あ!アラームが鳴った」(母・優季さん)
「なんのアラームですか?」(記者)
「血糖が高いアラームです」(母・優季さん)
腕に取り付けられた測定器とスマホが連動し、一定の数値を超えるとアラームが鳴るようになっています。昼夜関係なく、インスリンの投与が必要です。
「このアラームが夜中に鳴ることもある?」(記者)
「あります。しょっちゅう」「夜中は親が、私たちが(注射を)起きてやっている」「朝まで寝たことないよね(笑)1型のお母さんはそうだと思うけど、本人は寝ているけど、注射はさせてもらっています」(母・優季さん)
インスリンは、量を間違えると命に関わる危険があり、真浩くんひとりで注射するのは、まだ難しい状況です。
「インスリン注射は量が大切。なぜかというと食べた量に対して、インスリンの量が多かった場合、低血糖になる。低血糖って怖くて、対処が遅れると死亡する可能性も…本当に対処が遅れた場合ですけど…」(母・優季さん)
母の優季さんは、真浩くんが通う幼稚園や小学校に出向いて毎回、給食の前に注射をしていたといいます。
「仕事もできないし」「自分が通えば済んでしまうけど、誰かに助けてっていうのってこんなに悪いことかな?って」(母・優季さん)
「すべての小学校で医療的ケアを」
悩んだ優季さんは地元の議員を通じ、名古屋市の教育委員会に相談。
去年4月からは、看護師の川上祐香さんが、学校に来て真浩くんにインスリンを注射してくれるようになりました。
「(部屋に入ってくる)失礼します」(真浩くん)
「こんにちは」(川上さん)
「こんにちは」(真浩くん)
「元気だった?」(川上さん)
「うん」(真浩くん)
注射の前には、体調に変化がないかどうか確認するのが日課です
「きょう給食なんだった?」(記者)
「鶏めし、だんご汁、みかん」(真浩くん)
「好きなものある?」(記者)
「(首を横に)」(真浩くん)
「すべての小学校でこういう医療的ケアのあるお子様が受け入れられるような看護師の配置・充実を図られるといいなと思います」(川上さん)
真浩くんへの看護師派遣をきっかけに、今は名古屋市内で幼稚園児1人、小学生3人(真浩くん含める)が看護師による「1型糖尿病」のインスリン注射を受けています。
愛知県によると、県内で実施しているのは、ほかに豊橋市、みよし市、刈谷市の4つの市と、幸田町のみ。
母の願い「病気への正しい理解」を…
母の優季さんは、さらなる支援の広がりを求めています。
「私立の幼稚園への看護師の派遣がないのを今私は変えたい。真浩が私立の幼稚園に通っていたこともあるけど」「幼稚園を責める気は全くなくて、先生たちも怖いと思う。だから看護師さんが来てくれるってなればお任せできるし、みんなが安心。先生も安心、子どもも安心で楽しめるし親も安心。いいことしかない。制度がどんどん広がってくれるとみんなが安心して暮らせる」(母・優季さん)
月1回、真浩くんを診察している医師は,病気への「正しい理解」が必要だと話します。
「限りなく普通の扱いをしてほしい」「1番困るのは、あの子糖尿病だから、あの子の見えないところでお菓子食べて、食べてっていうのだけ絶対やめてほしい。全く同じように接してあげてほしいですし、おやつも食べていいので区別しないでほしいと思います」(ソレイユ千種クリニック・木村那智院長)
負い目を感じることなく、元気に育ってほしい。真浩くんの両親の、願いです。
「注射さえ打っていればほかの子と何も変わらない。何食べてもいいし、運動してもいいし、制限は何もないので」「思春期になると「周りと違うな」って負い目を感じる変な思考にならないように元気に育ってほしいなと思う」(父・浩和さん)
「毎日楽しく学校行ってるよ」(真浩くん)
(2月8日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)
#1型糖尿病 #インスリン注射
