明治時代から昭和にかけて活躍した、東京・小平市ゆかりの彫刻家で日本彫刻界の巨匠といわれた平櫛田中(ひらくし・でんちゅう)の原点に迫る企画展が、旧邸宅を改装した美術館で開かれています。

 平櫛田中は近代日本を代表する彫刻家です。彼が好んだ言葉が「六十、七十ははなたれこぞう 男ざかりは百から百から」でした。田中は100歳を超えてなお彫刻への情熱を持ち、107歳で亡くなるまで創作活動を続けました。

 そんな彼が最後に住んだ小平市の邸宅は現在、田中の作品を展示する美術館となっています。ボランティアの中西雅子さんは「代表作といわれるのが『鏡獅子』。一番大きなものは国立劇場に飾られているが、その4分の1のサイズの鏡獅子を展示している」と解説します。歌舞伎の演目「春興鏡獅子」の一瞬を切り取った彫刻は今にも動き出しそうです。その他、多くの作品も精密でありながら躍動感にあふれていて、見る人の心を打ちます。

 現在、美術館で開催されているのが“田中の原点”を感じられる企画展「彫刻と人形」です。若い頃、人形師の下で修行していた田中が収集した国内外の人形が並びます。中西さんは「一刀彫でシャープな切り口。鏡獅子のパリッとしたような彫り方は森川杜園の影響を受けていると聞いている」といいます。田中は人形を作る技に影響を受けていたことがうかがえます。

 平櫛田中彫刻美術館の藤井明学芸員は「人形制作は田中の彫刻制作の原点。彫刻と人形の表現の違い、それぞれの魅力を味わってもらえたら」と話します。彫刻作品と人形、その境界を探る平櫛田中の企画展は5月20日まで開かれています。