6月3日、韓国では4年に一度の地方選挙と国会議員の補欠選挙が行われた。写真は開票作業の様子(写真:Xinhua/ABACA/共同通信イメージズ)
6月3日、韓国全土で実施された地方選挙において、投票用紙の不足により国民の参政権が侵害されるという、前代未聞の事態が発生した。
ソウル市松坡(ソンパ)区をはじめとする50カ所以上の投票所で用紙が底を突き、投票できずに引き返す有権者が続出したのだ。
夜遅くまで投票が強制延長された一部の投票所では、開票と投票が同時に進行するという、正常な民主国家では到底あり得ない「選挙惨事」が起きた。怒った若年層の有権者を中心に、再選挙を求める大規模なデモが連日続いており、韓国社会は深い混乱に陥っている。
期日前投票の動向を読み間違え
今回の事態の核心的な原因は、中央選挙管理委員会(以下、選管)の安易な行政便宜主義にある。選管は韓国の憲法機関であり、選挙の公正な管理を専任する独立機関だ。そのような選管が、今回の地方選挙の最終投票率が低くなるだろうと勝手に推測し、投票用紙の印刷量の下限を全選挙人の50%前後まで大幅に引き下げる指針を出していたのだ。
判断の背景には、期日前投票制度があった。
期日前投票の場合、投票所の現場で用紙を即時プリントする方式を採用している。ここ数年間、地方選挙の期日前投票率は一貫して20%台を維持しており、前回の大統領選挙では34.7%にまで急上昇した。選管はこの数値を鵜呑みにし、期日前投票の人数を除けば、本投票の用紙は50%だけ印刷すれば十分だと誤判した。
しかし、これは地域別の投票傾向を全く考慮していない机上の空論であった。いわゆる「不正選挙」疑惑に敏感な保守派の有権者の間では、期日前投票の管理が杜撰であるという不信感から、これを避ける傾向が強い。その結果、保守色の強い江南(カンナム)や松坡などの地域ではもともと期日前投票率が特に低く、本投票の当日に有権者が一斉に押し寄せる現象が顕著に現れていた。選挙の専門機関である選管が、このような偏差を計算せず、全国に一律の指針を適用したことは納得しがたい。
選管が印刷量を無理に減らした最大の理由は、一部で主張されている不正選挙疑惑を意識した措置と解釈されている。選管は数年間にわたり、「余った投票用紙が選挙操作に悪用された」という保守陣営の一部による「残余用紙流出疑惑」に悩まされてきた。
疑惑の口実を与えまいとする極度の防衛心理が、「最初から余る紙を作らない」という荒唐無稽な結論へとつながったのだ。批判を恐れるあまり、有権者の参政権を剥奪するという、より大きな惨事を自ら招いた格好だ。