記事のポイント
OpenAIがChatGPT広告でCPA購入を一部広告主向けに開始し、成果に基づく課金へ踏み込んだ。
ピクセル導入やCPC、広告マネージャー公開など、広告事業の基盤整備が急速に進んでいる。
2030年に広告収益1020億ドルを見込むなか、IPO前に収益化の実効性を示す必要がある。
OpenAIが、広告マネージャー内でアクション単価(CPA)広告を有効化したことが、Digidayの取材でわかった。
この機能は現在、一部の広告主だけが利用できるもので、ChatGPT内の広告について、ユーザーが特定のアクションを取った場合にのみ広告費を支払えるようにするものだ。そのアクションには、サイトへのクリック、登録、購入などが含まれる。これまで広告主は、その後に何が起きるかに関係なく、1000インプレッションごと、あるいはクリックごとに費用を支払う必要があった。
Advertisement
この動きは、5月にOpenAIのマネタイゼーション責任者であるアサド・アワン氏が示唆していた。同氏は記者向け説明会で、成果やコンバージョンに基づく入札は「計画に入っている」と述べ、「まもなく完了するはずだ」と語っていた。これは、OpenAIの広告マネージャー内の表示から、この機能が開発中であることを示唆したDigidayの報道を裏付けるものだった。
実験予算から成果予算へ
明らかに、この機能はそれ以上に進んでいた。土台はすでに整っていたのだ。CPA広告を機能させるには、コンバージョン計測のインフラが必要になる。OpenAIは最近、ピクセルの導入によってそれを整備していた。これがなければ、広告の表示とその後のアクションを結びつける信頼できる方法はなく、ましてやその成果に基づいて課金することなどできない。
「CPA広告の開始は、OpenAIの広告事業にとって論理的な次の一手だ」と、エンダーズ・アナリシス(Enders Analysis)のシニアリサーチアナリスト、クレア・ホルボウスキー氏は述べた。「これは同社の提供メニューを広げると同時に、広告主の層を多様化するものだ。また、自社の目標を達成するために効果的に競争しなければならないメタ(Meta)やGoogleに、プロダクトをより近づけるものでもある」。
現時点でOpenAIは、自社を本格的なパフォーマンス広告費の受け皿というより、実験的な広告予算の投下先として位置づけることに力を入れてきた。これは、より成熟した競合と直接比較されることを避けながら、広告事業を育てるための方法である。しかし、それは一時的な構えであって、恒久的なものではない。CPA購入の導入は、この事業がどこへ向かっているのかを示す最新のシグナルである。
このパイロットに参加しているクライアントを持つあるエージェンシー幹部は、こう述べた。「インプレッションやクリック単価は、我々がマーケティング目標と呼ぶものだ。しかし、実際にビジネス成果を動かすのは、ビジネス目標である」。
広告収益化へ向けた人材補強
この考えは、デイブ・デュガン氏も十分に理解している。同氏はメタの元広告責任者であり、現在はOpenAIで広告収入をかき集める取り組みを率いている。ここ数週間、同氏はチームづくりを進めてきた。メタの元幹部であるアルチャナ・ジョシ氏は、OpenAIの広告GTM(Go-To-Market)収益・戦略オペレーションチームの創設メンバーとして入社したことを発表した。この役割は、広告パートナーを迅速に拡大することが期待されている。
メタでの7年間のうち直近4年間、ジョシ氏はメタのアプリ全体におけるパートナーおよびクライアントプログラムのグローバル戦略と実行を率いていた。さらにOpenAIは、スナップ(Snap)の北米およびミッドマーケット担当マーケティングサイエンス責任者だったサム・ムリンダー氏を採用し、マーケティングサイエンス機能をゼロから構築しようとしている。
これらの採用は、ここ数週間で広告事業に加えられた目まぐるしい更新の上に積み重なるものだ。直近2カ月だけでも、同社はChatGPT広告の見た目を更新し、小売業者が商品カタログから直接広告を生成できる自動化機能を追加し、パイロットを複数市場に拡大し、広告マネージャーを立ち上げ、その後米国で広く利用可能にした。さらに、クリック単価(CPC)を有効化し、ピクセルを構築し、最低契約額を撤廃し、インプレッション単価(CPM)の低下も確認された。
広告事業に多くが懸かっている
それに加えて、OpenAIはすでに一部の初期パイロット広告主にメールを送り、コンバージョン最適化キャンペーンへの早期アクセスを提供している。Digidayが確認したそのメールによると、「6月1日月曜日までにコンバージョン設定を完了したアカウントには、6月5日までに早期アクセスが付与される」と記されていた。
言い換えれば、OpenAIは広告に多くを懸けている。同社はすでに2025年に25億ドル(約4000億円)を消費しており、この数字は今年85億ドル(約1兆3600億円)まで増えると見込まれている。さらに、2030年までに広告収益1020億ドル(約16兆3200億円)を見込んでいる。これは、Googleやメタが到達するまでにかかった時間の何分の一かで、史上最大級の広告事業のひとつを築くことになる目標である。年内のIPOが見込まれるなか、投資家は、そのインフラが本物であり、収益がそれに伴っている証拠を求めるだろう。
[原文:OpenAI turns on cost-per-action ads inside ChatGPT]
Krystal Scanlon(翻訳・編集:的野裕子)