オリンピックの開会式が行われた先週金曜日。都内の病院では、新型コロナに感染した女性が集中治療室に運び込まれていました。

 女性は50代。咳や痰の症状があって入院してきましたが、4日後には、人工呼吸器が必要な状態にまで急速に悪化していました。

 「特定機能病院に入院しなければならない中等症2以上の人が増えているのが問題視しているところ。(先月から)50%から60%ぐらい増えてきている」(昭和大学病院 相良博典院長)

 新型コロナの症状は、重症、中等症2、中等症1、軽症と分類されています。東京都の基準で「重症」とは、もはや自力で呼吸ができず、麻酔で意識を失わせたうえで人工呼吸器や人工心肺装置を装着しなければならない状態。現在急増している「中等症2」はその一歩手前で、肺炎の悪化によって通常の空気では呼吸が持たないため、酸素の吸入が必要な状態のことです。

 「若年者であっても、中等症2が増えているところが問題になっている。感染層として、一番多いところが中等症化してくるというところが危機感を感じる」(昭和大学病院 相良博典院長)

 こちらの病院ではすでに、「重症」用ベッドは8つのうち5つ、「中等症2」のベッドは、30のうち21が埋まっています。

 今回の「第5波」では、若い世代でも肺炎が悪化し、酸素吸入が必要になるのはなぜなのか。医師は、急激に広まっている変異ウイルス「デルタ株」の脅威を指摘します。「デルタ株」が最初に猛威を振るったインドでは、感染者が酸素を求めて病院に押し寄せるなど、医療用酸素の不足も深刻化しました。

 「20代、30代でも肺炎をおこして酸素が必要な患者さんが増えているというのが問題。おそらくここに関しては、デルタ株の影響がかなり関係しているだろう」(昭和大学病院 相良博典院長)

 東京では、若年層を中心とした「中等症2」の増加によって、酸素吸入が必要なほど症状が悪化した患者でもすぐに入院先が見つからない状況も出ているため、先週末からは、「入院待機ステーション」の運用も始まっています。(29日17:32)