オリンピックの聖火が開催地・東京に到着しました。都内にやって来た聖火、初日の様子をまとめました。

 今年3月に福島県をスタートして全国を巡ってきた聖火がいよいよ開催地・東京へと運ばれて来ました。聖火がともされたランタンは7月9日午前、前回=1964年の東京オリンピックの会場として使われた世田谷区の駒沢オリンピック公園に届けられ、お披露目されました。

 今回の東京オリンピックで首都圏の会場は無観客とすることが前日=8日夜に決まり、異例の開催となりました。こうした中、都内の聖火リレーは新型コロナウイルスの感染状況の悪化を踏まえ、島しょ部を除いて公道での走行が中止されました。その代わり、各地の式典会場で点火セレモニーが行われることとなりました。

 式典で東京都の小池知事は「駒沢オリンピック公園総合運動場は1964年大会の主要会場、試合会場として使用された場所。国内外に誇るこれらのレガシーと共に2020大会の聖火を迎えることをとてもうれしく思う。それぞれの思いを聖火に込めて、オリンピックスタジアムに向けてしっかりとつないでいきたい」とあいさつしました。会場には国内外から多くのメディアも訪れ、式典の模様はネットを通じ、世界に向けてライブ配信されました。

 聖火を納めたランタンは第1走者を務める日本選手団の公式応援団長・松岡修造さんに委ねられました。松岡さんはその後、聖火と聖火をトーチで受け渡すセレモニー「トーチキス」が行われる町田市に移動し、次のランナーへしっかりと聖火をつなぎました。松岡さんは「僕はこの状況下でやって来る全てのアスリートに対して本気で応援したいと思っている」「さまざまな複雑な思いもいっぱいある。ただ、やるとなった以上は五輪の力・光を前に発していきたい。特別な五輪だからこそ出てくる力が間違いなくあると思う。それを僕は感じ、伝えていく。皆さんもそれを捉えてほしいと心から願う」と語りました。

 松岡さんから聖火を受け継いだ、世田谷区に住む斎藤龍音さん(15)は「個人としては走りたかった気持ちはあるが、いま医療従事者が頑張っている中、公道で走れなくてもやらせてもらっている事実に感謝している」と思いを明かしました。

 都内の聖火リレー初日の式典には、世田谷・狛江・稲城・町田を走る予定だった聖火ランナーおよそ120人が参加しました。また、アテネオリンピック体操団体金メダリストの米田功さんや俳優の山田孝之さんらも参加し、希望のともし火をつないでいきました。