2019 Autumn Classic Inernational / 2019-09-13 / カナダ・オークビル

前日のショートプログラムを1位通過した紀平梨花選手。この日のフリープログラムの演技実施内容は以下の通り。

3A + 2T
3A<
3F
FCSp3
3S
StSq4
3F + 3T
3Lz< + 2T + 2Lo
CCoSp4
ChSq1
3Lo
LSp4
※ < = 回転不足。

FSのスコアは、技術点77.02、演技構成点68.96で、Total145.98点(FS1位)で、SPの78.18点を合わせた合計点は224.16点とシーズン最初の試合としては高得点が示された。
ただし、採点を細かく見ていくと課題も見つかる。
得意とするジャンプでは、序盤の単独の3Aと中盤の3連コンビネーションの3Lzが回転不足と判定されているのがわかる。
また、もっと改善が望まれるのが68.96点だった演技構成点の方で、採点される5つのコンポーネントすべてでエフゲニア・メドベデワ選手(72.24点)の評価を下回っていることだ。ここを引き上げれば総合点はもっと高くなっていくだろう。
会場に詰めかけた紀平ファンが期待した「4回転ジャンプ」は披露されなかった。
シーズン初戦のAutumn Classic Inernationalは慣らし運転という位置づけかもしれないが、ロシアスケート連盟が主催したシーズン直前の「テスト演技会」(9月8~9日)では、アリーナ・ザギトワ選手はもちろん、メドベデワ選手らロシアの主だった選手達が仕上がりぶりをアピールしていたが、今シーズンからシニア入りした4回転ジャンパーのアレクサンドラ・トルソワ選手やアンナ・スタニスラボバ・シェルバコワ選手も参加して圧倒的な存在感を示していた。
特筆すべきなのは、トルソワ選手達ジュニアで圧倒的強さを誇った4回転ジャンパーもシニアに上がる年齢になれば身体的な成長(体形変化)によって4回転が跳べなくなるのではないかという一部の評価とは裏腹に、トルソワ選手はまだ少年のような体形を残しているものの4回転トゥループ、トリプルトゥループのコンビネーション、4回転ルッツ、トリプルルッツとトリプルループのコンビネーションと、次々に超高難度ジャンプを繰り出して第1位の評価(第2位評価はベテランでトリプルアクセルを跳ぶエリザベータ・トゥクタミシュワ選手)を得、シェルバコワ選手も4回転ルッツを決めるなどして評価第3位となっている。
この2人のハイジャンパーが今シーズンの国際大会で台風の目になるのは明らかで、プログラムの内容を見る限り昨シーズンと難度的に進化を見せていない紀平が、この2人のハイジャンパーを抑えきれるかどうかは非常に厳しいところだ。
シーズンオフに練習では4回転ジャンプを跳んでいる紀平だが、公式試合本番で「いつ跳ぶのか」が大いに注目される。